ズワイガニの中でも、越前ガニは、高級ガ二で、その濃厚な味と身のつまり具合に、最初は驚くと思います。

越前ガニがこんなに美味しい秘密とは、
漁場の豊富な栄養源と、その鮮度にあります。そして、熟練した茹で方の技術。
この3点がおもな美味しい理由ですね。

まず、漁場は、三国港沖、石川権との沖の堺辺りが中心となります。
この漁場は、暖流と寒流がぶつかる対馬の豊かな漁場のため、プランクトン、小魚などが多く、
それをえさとしている大きな 魚も集まる、絶好の漁場なんです。
栄養豊富な場所であるのはカニ達にとっても、同じなんですね。

越前カニが良質のえさを食べて大きくなった証拠に、カニの甲羅に「カニビル」がたくさん付いています。
見た目は、黒くてゴマが大きくなったようなあずきぐらいの大きさの形ですが、これが、たくさん付いている物が美味しいといわれます。
カニが脱皮する時には、栄養がたくさん奪われて、身がスカスカになったり、味が落ちますね。
脱皮した抜け殻に、このカニビルも一緒に付いたまま取れてしまうので、
脱皮したカニは、カニビルが最初付いていません。
カニビルがたくさん付いているという事は、脱皮してから、日にちがずいぶん経って成長していて、身が詰まって、美味しい状態って事です。

次に、鮮度のよさがあります。
鮮度がいいというのは、カニを捕ってから、市場に出すのが早いということですが、
普通、かにがとれる場所は、陸からずいぶん離れているため、その日にとって帰る事は、難しいんです。
所が、越前ガニが獲れるこの漁場は、三国港から近いために、日帰りで生きたままの状態で市場にすばやく出すことが出来るんです。
鮮度は、海鮮物では、命ですよね。

最後に、熟練の技の茹で方です。
まず、基本は、強い火で、一気に茹で上げる事です。
なので、特別にカニをゆでるために強い火力がでる設備を使っています。
聞くところによると、その火力の強さは、目玉焼きが10秒でできてしまうとか・・・。

そして、塩加減。これは、経験で培ってきたものだそうですが、その日の湿度、温度、カニの状態を見て、量を変えているそうです。

現地の方に聞いたんですが、「蟹見10年、茹で一生」という言葉があるそうです。
これは、言葉の通り、いいカニを見分けるには、10年かかって一人前になりますが、
茹で加減のプロになるには一生勉強。それほど、奥深いらしいです。

現地では、ゆでる技術が上手な人は有名みたいですよ。
そういう人は、カニに対する情熱があって、熱い方が多いそうです。
ゆでる技術というよりも、心をこめて美味しいと喜んで食べてもらいたいという気持ちが強い人が茹で名人だと言っていました。